美容室を個人事業主で独立開業する時の知っておくべき口座開設のこと
2017.03.09
個人事業主として独立開業し、美容室経営をしていくには銀行口座が必要です。
美容室の規模に関係なく、個人事業主や法人も関係なく必要です。
私も個人事業主として独立開業時には、事業用の口座を新たに2つ開設しました。
ここでは、個人事業主としての事業用口座に関して、私の経験から以下のことを紹介します。
- 口座開設の目的と使い方
- 口座開設の流れ
小規模美容室での独立開業を考えているのであれば、やり方は色々でしょうが参考になることもあるでしょう。
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口座開設の目的と使い方
美容師として勤めていたのであれば、お給料が振り込まれる口座を持っているでしょう。その口座は、勤め先の美容室に指定され作った口座かもしれません。
他にも、上記の口座とは別で個人で開いた口座をお持ちかもしれません。あなたは、どこかしらの銀行口座を必ずお持ちでしょう。
独立開業を決めたのであれば、自分の事業用口座を新たに開設しましょう。
美容室経営での事業用口座の目的は、
- 融資を受ける際の振込先や返済していくための引落し先の口座として使う
- 店舗家賃の支払いやお給料の振り込みなどの、各種経費の支払いをするのに使う
- 日々の現金売上を入金するのに使う
- 売掛金(クレジットカード払いの売上)の入金される口座として使う
- その他、美容室経営に関係したお金の入出金
- 金融機関との関係構築のため
こういった、事業に関するお金を扱う専用の口座となります。
1,融資を受ける際の振込先や返済していくための引落し先の口座として使う
あなたが美容室を開業するために金融機関から融資を受けるのであれば、融資を受ける金融機関(銀行や信用金庫など)で口座開設をします。
もし、日本政策金融公庫から融資を受けるのであれば、融資を受け取るための口座が必要です。返済していくための引落し先としても使えます。
2,店舗家賃の支払いやお給料の振り込みなどの、各種経費の支払いをするのに使う
美容室を経営していく上で必ず必要となる経費があります。
- 店舗物件の家賃
- スタッフがいれば給与支払い
- 材料費
- 水道光熱費
- 通信費(電話やネットなど)
- 広告宣伝費(ホットペッパービューティー掲載費など)
- 管理諸費(会計士顧問料など)
こういった毎月必ず支払いが発生するものは、口座引落しや口座振込がほとんどとなるでしょう。
毎月の支払いではないですが、事業主が支払う税金などの引落しもこの口座でするのがいいでしょう。
事業用口座から支払われることで、会計業務もしやすくなります。
3,日々の現金売上を入金するのに使う
美容室は現金商売です。
お客様を施術して支払われるお金は、現金でのお支払いかクレジットカードでのお支払いとなるでしょう。
その日のお会計の際、現金にてお支払い頂いた税込売上の合計額がその日1日の現金売上となります。
この現金売上を必ず事業用口座に定期的に入金しましょう。
店や自宅に置いておいたり、常に持ち歩くのは危険です。
事業用の口座からは毎月各種経費の支払い(引落し)があります。そのため、常に一定以上の金額が口座にある状態でないとなりません。
現金売上は、なるべく溜めずに入金をしに行くことをお勧めします。
現金売上の管理、入金の仕方は、
例えば、その日の現金売上が75,600円なら、口座開設した金融機関の封筒(別に他の封筒などでも問題はない)に日付と金額を書いて現金を入れる。
日付と金額を書くのを忘れないようにしましょう。
毎日、営業前とかに入金に行けるのであれば良いが、大抵の場合は毎日入金に行くことは少ないでしょう。
入金の際に日付の古い封筒の現金売上から1つ1つ入金していきます。
そのための日付と金額です。
古い順から入金していくことで、通帳に日毎に現金売上が並んでいくので、間違いが起きづらいです。
4,売掛金(クレジットカード払いの売上)の入金される口座として使う
売掛金とは、お客様がお会計でクレジットカードでの支払いをした場合の売上金です。
当然ですが、現金払いではないのでカード会社から後で口座に振り込まれます。
そのための口座として必要となります。
お客様のお会計でクレジット払いに対応しないのであれば気にする必要はありませんが、クレジットカードでのお会計には手数料が発生します。
手数料は、お客様ではなく美容室が負担することになります。
個人事業主であるあなたがカード会社に支払うものです。なので、なるべく手数料が安く、取り扱えるカード会社の多い決済サービスの導入を検討しましょう。
クレジット決済に関しては”美容室のクレジットカード決済サービスは楽天Payで問題ない”を参考にしてください。
5,その他、美容室経営に関係したお金の入出金
当たり前ですが、美容室経営においての必要なお金が全て口座だけで完結するわけではありません。
例えば、以下のような時
- 洗剤がなくなった
- トイレットペーパーがなくなりそう
- 切手が欲しい
などの細々したものなどは、あなたやスタッフが近所に買い出しに行くかもしれません。
他には、ネットで買ったものが代金引換でサロンに届くかもしれません。
こういった時は、いわゆる小口と言われるところから現金で支払うことになるでしょう。
小口現金とは
事業に関わる日々の小額の現金支払いにて使われます。
この小口現金は、小規模美容室であれば月に5万あれば十分でしょう。
例えば、この小口現金5万円を事業用口座から毎月1回引き出せばいいでしょう。
こういった経費は、通帳での会計業務とは関係はないですが、お店に関係したお金なので事業用口座から引き出して使うようにしたほうがいいでしょう。
6,金融機関との関係構築のため
事業用口座を開設しただけで、金融機関と信頼関係が築けるわけではありません。
しかし、あなたが美容室経営をしていく上でお金が必要となる時が来るかもしれません。
例えば、
- 改装工事
- 広告媒体への出稿
- スタッフ増員
など。
個人事業主としてのあなたの自己資金だけで準備できるなら、融資を受ける必要はないかもしれませんが、自己資金は使わずに運転資金として残しておきたいと思うかもしれません。
そういった時は、会計士さんと相談した上で融資を受けることになるでしょう。
融資を受ける際は、事業用口座を開設した金融機関で申し込むのが一般的です。
金融機関があなたに融資をする際は審査をします。あなたに返済能力があるのかどうか。
こんな時に目安となるのがあなたの事業用口座です。あなたの口座には、いろんな情報が詰まっています。
- 日々の現金売上がきちんと入金されている
- きちんと納税している
- 毎月の各種支払いが出来ている
- 預金残高が順調に増えている
こういったことが分かります。
必要となる融資の額にもよると思いますが、これだけで審査に通るわけではないですが。
事業用口座を開設するというのは、こういった意味合いも含めて必要ということです。
まとめ〜事業用口座は必要〜
個人事業主であれば、今まで使っていた銀行口座でも問題はありません。
ただ、事業に関するお金とプライベートのお金が同じ口座で動くとなると、通帳を見たときにはわかりづらいです。
会計士さんの監査のときにも、いちいち説明が必要となるでしょう。
「この〇〇円の引落しは何?」、「ここで振り込まれている〇〇円は?」などといったことです。
仕事にしろプライベートにしろ、自分で使っているお金ですが、何に使ったのかを覚えていないと後々面倒です。
口座開設自体は、そこまで時間の掛かることではありませんので、独立開業の準備に入りましたら開設しましょう。
口座開設の流れ
個人事業主として事業用口座を開設するにあたり抑えておくべきポイントがあります。
- 銀行ではなく信用金庫(または地方銀行)がいいでしょう
- 口座名はサロン名と名前の2つ
- サロンと自宅のどちらかの近くにある
個人のプライベートな口座であれば、好きなところで開設すればいいでしょうが、事業で使う口座となると話は違います。
このポイントを抑えることは、個人事業主として独立開業するなら重要です。
1,信用金庫での口座開設
個人事業主で美容室を開業するのであれば、銀行ではなく信用金庫で事業用口座を開設しましょう。
きっと会計士さんに相談したら、信用金庫を薦められるはずです。
なぜ、個人事業主の場合は信用金庫の方がいいのかは調べれば分かりますが、下記のようなことが言えます。
地域密着で顧客が地元の飲食店や小売店、中小企業などなので個人事業主にも柔軟に対応してくれる。
逆にいわゆるメガバンクと言われる都市銀行では、法人でないと融資の相談には対応してくれないでしょう。
経営者といえど個人事業主の信用度は低いです。
ましてや、これから初めて独立開業しようというなら尚更です。
私もサロンの近くの信用金庫で口座開設しましたが、ちょっと手こずりました。
口座開設時に用意しておくと良いもの
私は「個人事業主の事業用の口座を開設したい」と信用金庫に行ったら、断られました。
「ん?なんか話が違うな。。なんで??」と思いました。
窓口の人に言われたのが、
『お店の契約書や開設届を持って来て頂かないと、口座をお作りすることはできません』
怪しい人間に見えたのであろうか?犯罪にでも使うと思われたのか?
今は色々と犯罪も多く厳しいみたいで、きちんと事業としての実態を証明するものが必要ということでした。
私の場合、店舗物件は決めていましたが契約がまだだったので、契約書ではなく契約概要が記載された書類があったので、その書類と美容師免許を持って、なんとかお願いして開設することができました。
事業用口座をいつ開設するかにもよると思いますが、【事業としての実態を証明できるもの】は準備してからのほうがいいでしょう。
2,口座名は屋号+名前で開設
口座開設の申し込みのときは「事業用として口座を開設したい」と伝え、口座名は『屋号と代表者名』で申し込みしましょう。
事業用口座は取引先などにも教えることがあります。そういった時には、サロン名が入っていた方が見栄えがいいですし、ちょっと信用度も増します。
例えば、あなたが仕事でホームページの制作をお願いして、制作料金の支払いの際に振込先の口座名が
「鈴木 太郎」
より
「WEBdesigner 鈴木 太郎」
みたいになっていた方が、どこか安心感がありませんか?
美容室経営でも同じです。
代表者のあなたの名前の前にサロン名を入れて口座を開設しましょう。
3,サロンもしくは自宅の近くで開設
現金売上の入金が近くでないと不便です。本当に不便です。
私は、自宅はいずれ引っ越すかもしれないということが考えられたので、サロンの近くで信用金庫を探しました。
けれど、近いと言える距離にはなく、一番近くて徒歩15分強の場所でした。
15分なら遠くないと思う方もいるかもしれませんが、そんなことありません。遠いです。面倒です。
スタッフがたくさんいるのであれば、経営者としての時間も作れるかもしれませんが、小規模サロンのオーナースタイリストだと営業中に入金しに行くのが難しいです。
となると、営業開始前か定休日に入金しに行くしかありません。
なので、片道徒歩15分は遠いのです。
入金や振込のことを考えると、絶対に近くにあるところで口座開設する方がいいでしょう。
まとめ
美容室を個人事業主として独立開業する際は、事業用口座の開設は必須です。
サロンを経営していくお財布です。しっかりと管理する必要があります。
今回紹介したことは、会計士さんに聞けばその都度アドバイスしてくれるはずです。
私は、独立開業にあたって信用金庫とネット銀行の2つを開設しました。
ネット銀行は大変便利です。
”小規模美容室のオーナーがネット銀行に口座を持つべき理由”を参考にしてください。