美容室居抜き物件での独立開業で見極めるべき6つのポイント
2017.02.26
美容師の独立開業で居抜き物件での出店は、初期投資を抑えるためにも選択肢の1つとして検討してみるべきです。
「居抜きの美容室」を想像した時、単純に中古物件を思い浮かべるでしょう。そして、中古というデメリットのことばかり考えてしまうでしょう。
初めての独立開業であれば、自分の理想とする美容室が作れることで頭がいっぱいになり、居抜きでの出店という考え自体がないことが多いと思います。
私も独立を考えた時は、居抜き店舗での開業はまったく考えていませんでした。でも、今は居抜きで出店したことに後悔はなく、むしろ良かったと思えます。
独立開業での新規出店(スケルトン物件)が必ずしも正解とは言えません。
- 『スケルトン物件からの出店』
- 『居抜き店舗での出店』
美容師が独立する際は、この2つで検討してみるのがいいでしょう。
そして、居抜き店舗を検討するときには、スケルトン物件よりも慎重に見極めなくてはなりません。
あなたの美容師歴が10年もあれば難しいことではないでしょう。
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物件を探す前に事業計画を立てる
スケルトンにしろ、居抜きにしろ、まずは美容室を開業し経営していくための事業計画を立てましょう。
- どのくらいの規模か
- どういったコンセプトか
- ターゲットはどこか
- 出店エリアはどの辺か
- 開業費用はどのくらいか
- 集客などの経営戦略
といったことを考え、計画しなくては物件を探すことはできません。
事業計画は美容室を経営していく上で大切なものです。何度もシュミレーションを繰り返し、しっかりとした計画を立てましょう。
”わかりづらい美容室独立開業の流れは経験しないと難しく感じる”を参考にしてください。
美容室居抜き物件を見極める
居抜きの美容室は、言ってしまえば中古です。新品ではありません。
あなたの事業計画に当てはめて考えた時には、メリット・デメリットがあるのは仕方のないことです。
しかし、独立開業時の物件探しで100%条件を満たす物件に巡り会えることも稀です。
- 場所はいいが家賃が希望条件を超えてしまう
- 2Fで家賃は安いが希望は路面店
- 場所も家賃も希望通りだが美容室不可
などといったことは、よくあります。
100%の物件が見つかるまで探すというのもいいですが、開業時期が延びてしまいます。どこかを妥協するということも独立開業をスムーズに進めるためには必要でしょう。
自分の立てた事業計画にある程度当てはまる居抜きの美容室が見つかった時、そこで計画通りに営業していける店舗なのか、美容室の状態をチェックしシュミレーションしなくてはなりません。
この時、最も心配するのが店舗の状態でしょう。
エリアや家賃、その他が条件通りでも美容室として営業スタートできる状態でなければ、居抜きの意味がありません。
そこで、美容室の居抜き物件を見極める時の6つポイントを紹介します。
1,立地
出店エリアが決まっていれば立地のことも調べてはあるでしょう。
- 世帯数
- 年代
- 世帯収入
- 駅徒歩
- 路面
- 段差
- 視認性
- 看板設置
- エレベーター
- 階段
- 商店街
など、いろいろと自分の考える条件をチェック項目として検討しましょう。
2,営業年数や売上、経費
その美容室がオープンしてから何年営業しているのかを確認しましょう。
不動産会社に聞けば、いつから美容室がその物件に入っているのか確認できるでしょう。
住宅用の家もそうですがお店も経年劣化します。ましてや、毎日営業していれば尚更です。
営業年数を知った上で、内装などをしっかりとチェックする必要があります。この時、美容室を得意とする設計士さんに同行してもらうことが重要です。
そして、設計士さんにその居抜き美容室の価値を金額で出してもらいましょう。その金額を買取り額の目安とするのが良いと思います。
ただ、あくまで営業年数などから試算された金額となるので、売り手のオーナーさんからしたら思い入れのあるサロンを手放すのですから、それ以上の金額を提示してくるかもしれません。
こればかりは、条件を聞いてみないとわからないでしょう。
私は、10年以上美容室として営業していた物件をを居抜きで買取りました。
もちろん、設計士さんにも細かくチェックしてもらいました。「10年以上経っているけど、きれいに使えている」と言われたので、決断することができました。
設計士さんには、内装などの造作物に関しては価値はない。0円でしょう。と言われましたが、さすがに0円で買い取ることはできませんでした。
それと、可能であれば下記のことを確認してみることをおすすめします。
- 売上データ
- 水道光熱費
- 他経費
1,売上の確認
営業期間中の最高売上などのデータがあれば見せて欲しいところです。
単価にもよるでしょうが、このサロン規模での売上られる1つの指標とはなるでしょう。
あなたの考える事業計画と見比べてみたときに、気づけることがあるかもしれません。
2,水道光熱費の確認
水道光熱費は、サロンが暇でも忙しい月でもさほど差がないので、毎月の支出として把握しておきたいところです。
3,その他経費の確認
これは、教えてもらえる範囲で問題ないです。
材料費や人件費といったことは聞く必要はないでしょうが、その物件で営業していく上で発生する費用が何かあれば確認しておきましょう。
例えば、年に1回は町会費として5,000円掛かる。とか。
3,閉店、廃業理由
サロンを閉めた理由を聞けるのであれば、確認しておきたい部分です。
- 継承者がいなかった
- 売上減少
- 人材不足
- その他
など。
ここは、あなたの事業計画に当てはまる物件であれば、そこまで気にする必要はないでしょう。
ただ、ここで美容室を経営していく上でのヒントが見つかるかもしれません。
4,設備機器の確認
エアコン、ボイラー(給湯器)、シャンプー台などの設備をチェックしましょう。
営業年数を確認した上で、途中交換などはしたことがあるのか?1度も交換せずに使い続けているのか?
エアコンもボイラーも長く使えますが基本は消耗品です。年月が経てば劣化しますし、型落ちになりメーカーのサポートも切れるかもしれません。
ただ、新品に交換するとなると結構な金額となります。設計士さんとよく相談して決めるのが良いでしょう。
私は、エアコンとボイラーを各1機づつ新品に交換してもらいました。普通に使えて特別問題はなかったのですが、設計士さんに見積もりを出してもらい考えて決めました。
理由としては、
- 10年以上前の型で古い
- 新品交換することで節電、省エネとなる
- 年数的に途中何か(故障)起きてもおかしくない
といったことで迷ってはいたのですが、これから長く営業していくと考えた時にエアコンとボイラーだけは、新しいものにして不安要素を無くしたかった。という思いでした。
実際、省エネになっている実感はないですが、使っていて不安はないので交換して良かったと思っています。
5,什器備品の有無
これは、ワゴンやカット椅子、加温器といったものから、カラーカップやハケ、ロッドケースといった細かい備品。
これらがあるのか、使える状態なのかですぐに営業開始できるかどうか変わります。
オーナーさんによっては、買取業者に売ってしまう場合もあれば、譲渡の際にこれらを含めて条件提示してくる場合もあります。
よほど古くて汚い、壊れて使えないとかでなければ、そのまま使うべきでしょう。
壊れているものは、処分するのに費用が掛かる場合もあるので、そういったことも考えて交渉する必要もあるでしょう。
6,譲渡条件
居抜き物件を美容室オーナーさんから譲り受ける際の売買契約に関する条件となります。
店舗物件に関しては、その物件のオーナーさんとの不動産契約が必要となります。保証金や前家賃といった物件取得費用が発生します。
美容室オーナーさんと直接交渉の上、居抜きで買い取れるなら、いろいろと聞いてみると良いでしょう。
個人(サロンオーナー)と個人(あなた)との直接契約となると、契約書に譲渡条件などがきちんと記載されていなかったりもします。
それだと、居抜きで買取り営業スタートしてから「〇〇が使えない、壊れている」などで最初と話が違うと思っても、どうにもならないでしょう。
面倒でも、そのサロンオーナーさんに譲渡条件などは書面にしてもらい、あなたがしっかりと確認するようにするべきです。
美容室居抜き物件を取扱う専門の仲介業者が間に入るのであれば、契約の際は手数料は掛かりますがトラブルは起きづらいでしょう。
私は、スケルトンで幾つか候補の物件を選んでいる時に、居抜きでの買い取りの話が自分のとこに来たので、その美容室オーナーさんと直接交渉で買い取りました。
内装設備などを設計士さんにもチェックしてもらい、買い取り価格は何度か交渉して決めました。
売買契約で譲渡日が決まってから、物件取得の契約手続きへと進みました。
(ホームページの確認)
居抜き美容室のホームページを見てみましょう。
例えば、その美容室が数ヶ月後に退店とかであれば、ホームページやウェブ広告媒体を探せば見ることができると思います。
すでに退店していたとしても、サーバー契約期間が残っていてホームページはそのまま放置という場合もあります。
その美容室のウェブサイトを見ることで、
- 単価
- メニュー
- ターゲット層
- 営業時間
など、どのようなタイプのサロンだったのかを想像することができます。
その立地での営業のヒントが隠れていることがあるかもしれません。
無いと思って、ネットで検索してみましょう。あればラッキーです。
居抜きとスケルトン両方の見積もりを出す
私は、居抜きの話が来る前にスケルトン物件で2つ候補が出ていたので、居抜きとスケルトンそれぞれで物件取得費用の計算、内装設備にかかる費用を設計士さんに概算で出してもらいました。
【居抜き美容室での開業費用の計算】
- 物件取得費用
- 設備機器の交換費用
- 他、内装工事費(必要であれば)の概算見積もり
【スケルトン物件での開業費用の計算】
- 物件取得費用
- 設備機器の導入費用
- 内外装工事の概算見積もり
これで居抜きとスケルトンそれぞれの出店費用の概算がわかります。
あとは、自分の使える開業費用と事業計画に当てはめてよく考えます。
費用のことは抜きにして、単純にすごく迷うと思います。開業費用で言えば断然居抜き物件の方が安く抑えることができます。
それでも、即決なんて出来ないでしょう。私もそうでしたから。
まとめ
独立開業の際は、スケルトン物件からの新規出店という選択肢だけで進めるべきではないです。
美容室居抜き物件での出店も選択肢の1つとして考えましょう。
もしかしたら、あなたの立てた事業計画に当てはまる居抜き店舗があるかもしれません。
居抜き美容室の物件が見つかれば、以下のことに気をつけて決断するべきです。
- 立地
- 営業年数や売上、経費
- 閉店、廃業理由
- 設備機器の確認
- 什器備品の有無
- 譲渡条件
この6つのポイントになります。
美容師の独立開業は、多額の資金が必要となります。オープンして営業していくのにもお金が必要です。
無理してはじめからお金を掛けすぎることもないです。お金に余裕があるのであれば別ですが。
美容室の居抜き物件を見に行く時は、美容室の設計施工を得意とする設計会社さんにも必ず同行してもらいましょう。
それと、行く前にあなた自身で抑えておきたい部分をチェック項目にして、当日しっかりチェックしメモしましょう。
大丈夫です。美容室とは中古でも案外キレイな状態であったりします。最初から、中古という意識を持っていると「なんだ、思ったよりキレイで良かった」と思えることもあるでしょう。
逆に、頭の中に新規オープンのサロンを思い描きすぎていると、居抜き店舗の良いところが探せず、悪い方に考えてしまいやすいので注意が必要です。
居抜きのメリット、デメリットを理解した上でよく考えてください。決めるのもお金を出すのもあなたです。