美容師も「個人の時代」なのか?独立することについて改めて考えてみた
2019.06.11
『個の時代』『個人の時代』と最近よく見聞きします。
解釈は色々なんでしょうが、私なりに「他に依存せずに個性を大事に自分の力で価値を生み出す」という風に捉えているんですが。
正直、正解がなんなのかわかりません。
『個人の時代』なんて言われても、自分一人でなんでもこなすのって実際大変なわけで、不安も大きくなるのが日本社会かと思うんです。
とはいえ、美容業界に当てはめて考えると『個』になってきているのかな〜。と強く感じるようになってきてはいます。
とか、考えていたら『美容師の独立』とは?と改めて考えてしまったのです。
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独立開業で店舗を構えるのが『個』と思っていた一昔前
私が美容師になった20年前、カリスマ美容師ブームのちょっと前かな。
勤めているサロンで技術を学んで磨いて有名になって独立!自分のサロンを持つ!!みたいな思いの美容師がほとんどだった気がする。
場所にもよるんでしょうが、青原界隈ではそんな思いを持った美容師が周りには多かった気がします。
「独立して店を持つ」というのがその当時の自分には美容師のゴールだと思っていた。
実際には、独立開業してから次のスタートとなるわけで、決してゴールではないのですが。
とにかく自分の店を持つということが今で云う『個』に当てはまるのだろうと。
というか、それしか知らなかったし、それしかないくらいに思っていましたから。
なんなら、美容師の仕事を頑張って続けていれば、いずれ自然と独立開業できるもんだと単純に考えていたような。
私だけなのかわかりませんが。
とりあえず、その当時は独立開業することしか選択肢を知らなかったわけです。
美容師として稼ぐためには独立して『個』となるしかない!
「個」となることで背負うリスク
まだこの時は「個」になるためとは思っていませんでしたが、独立開業という道を選んだことで「個」としてのリスクを背負うことになります。
『責任』
重くのしかかります。
- 美容室開業時の借金返済
- スタッフ
- 店舗
- お客様
他にもありますが、全てに対して責任を持たなくてはなりません。
独立した今はこの責任の重さがわかります。
もちろん、責任放棄したからといって死ぬわけではないでしょうが。
「個」とならずにどこかのグループ(組織)に属していた時の方が、そういった意味での精神的プレッシャーは確実に少ないです。
- 最悪、自分が休んでもなんとかしてくれる。
- お客様が来なくても最低限のお給料は保証されている
- 勤めている美容室が潰れても金銭的ダメージはない
でしたから、勤めていた時の自分は。
もちろん、このような心持ちで仕事に望んでいたわけではないです。だとしたら、独立開業なんてできないでしょうから。
「個」になり美容師続けるにはお金が掛かる
美容師が独立開業してお金を稼ぐにはお金が掛かります。
『お金を稼ぐためのお金』です。
「個」になれば、全て自分で用意しなくてはなりません。
美容師がお金を稼ぐには、美容室という働く場所が必要でした。
- シャンプー台、セット面
- カラー剤、パーマ液
- 会計用品(クレジット端末や両替金)
など、全てにお金が掛かっています。
お客様を施術しなくてはお金が稼げません。
- お客様を集客するための広告費
- お客様をお迎えするために必要なもの
お客様が来なくてはお金が稼げません。
独立開業して自分で稼ぎ出すには、稼ぐための資金も必要となります。
これが例えばメーカーさんの会社員なら、
- 企業(ブランド)
- オフィス
- 販売する商品
- 名刺
- 販路
- 広告
など、ほぼ会社が用意してくれています。
独立起業して「個」になれば、自分で商品も販路も作っていかなければなりません。
これには、お金も時間も能力も必要不可欠となるわけですよね。
「個」になることで広がる可能性
責任やプレッシャーは大きいですが、美容室という自分の城を手に入れ、自分の好きなスタイルでやりたいことができるようになります。
自分の時間や労働力の対価としてお給料をもらうわけではありません。
決まった時間拘束されることもない、決められた労働をする必要もない。
何に時間を使って、何の労働をしてお金を稼ぐかは事業主の自由です。
もちろん、美容室経営者ですから美容師という仕事がベースとなるわけですが、別にそれ以外のことを事業として始めるのも自由だから、お金を稼ぐという行動の制限が一切無くなります。
雇用されていても副業は可能でしょうが、本業に支障をきたすようなことはできません。
しかし独立することで、その辺のコントロールは自分次第なので可能性は広がります。
美容師の独立が『個』と呼べる時代になった(気がする)今
美容師の独立という中での選択肢が増えました。
- フリーランス美容師
- 業務委託美容師
- 社内独立
- 美容師インスタグラマー
- 美容師ユーチューバー
などなど、ホントに「個」としての活動がしやすい時代になってきました。
組織に属さず、美容室を開業もせず、個の美容師として生きていく環境が出来てきている。
今の独立の方が時代に合っている(気もする)
最近は環境整備に取り組む美容室も増えてきてはいると思いますが、社会保険なんてもちろん加入していないし、休みも月6日とかで拘束時間も10時間以上の美容室もまだまだある。
そこで、働くなら「店辞めて独立してフリーになった方がいい」と感じて当然。
だって、なんの保障もないでしょ?社会保険も完備されていないし。国民年金と健康保険、同じように支払えばいいんでしょ?
それなら、可能性が広がるフリーを選択する。
と考える美容師が増えて当然。
ましてや、より稼げるチャンスがあるならなおさらのこと。
『開業して店を持つ』という独立よりもリスク少ないし、何より身軽なのがいい。
今っぽい。
迷ってるくらいなら、1度独立してフリーになってみるのもいいと思う。
借金ないなら身軽だし、ダメだったら美容師としてまた就職だってできるだろう。
美容師しか知らなくても稼ぐ手段が増えた時代
今の美容師の独立の形が増えた背景には、雇う側と雇われる側の両方の事情があるとは思う。
だけど、働き方が増えて、そういった働き方を選ぶ美容師が増えた要因は『インターネット』が大きいと思っています。
スマホも無くネットも身近じやなかった昔なら、こんな加速度的にフリーランスや業務委託という美容師の働き方は広まらなかったと思うし。
何よりインターネットがもたらしてくれたものが大きい。
有名人でもなければ大企業でもない、ただの誰かでも価値を提供できること。
個という存在同士が繋がり共有することも簡単にしてくれたこと。
美容室という箱ありきでしか価値を提供することができないと思ってきた美容師の考えを変えたこと。
可能性は大きくリスクは最小限な美容師の独立
ができるようになってきた。
店を構えることでリスクを背負い、美容師として自分のやりたいことをやり、稼ぎの幅を広げようと頑張った独立開業とは違う。
『美容師+〇〇』を武器にリスクを最小限に「個」となる独立。私も大いに可能性を感じています。
正直なところ、私の周りではまだいません。だから、リアルなところは知りません。
なんにせよ美容師は自由
独立して美容室を開業するために多額の借金をする時代ではないと思う。
そんな大きなリスクからのスタートしか選択肢がないわけではない。
もっとリスクの小さいスタートから始めればいい。
組織に属しながら準備をしたっていい。
シェアサロンなどから始めればいい。
むしろその方が賢いと思う。
シェアサロンは本当にすごいと思う。
どんな形での独立をするのかは自由だし、美容師の独立は可能性を広げてくれるはずです。
独立タイプではないなら、福利厚生が整った美容室を選ぶのも自由。
もし、私が自分のサロンで自分1人だけになったら、店を閉店してシェアサロンで再スタートするかもしれません。
改めて「個」となり、再スタートするかもしれない。
その方が自分にとってリスクが少なく利益を残せると考えるから。
店を構える。維持する。楽しいことも辛いこともある。
でも実際は、自由なようで自由でもない。身重な部分もある。
今、独立を考えている美容師さん、借金して美容室を開業することはワクワクするし、きっと自分を成長させてくれます。
でも、その前の段階でも独立という選択肢がある今、そこから始めるのも1つだと思います。