美容室を独立開業して1年半で初期投資回収できた理由
2017.11.29
『美容室を開業するための初期投資』
美容室を出店するには必ずお金が必要です。
店舗規模にもよって掛かる費用に違いはありますが、「初期投資0円で自分のサロンを出店」なんてことはないです。
店舗物件取得、内外装費、設備機器などだけで考えても結構な金額になります。他にも広告費や人件費など、あらゆるお金が必要になります。
独立を決意してからサロンオープンまで、お金も時間も掛かります。
今はいろんな形の美容師の独立がありますが、東京都心でスタッフ3〜4人で営業する小規模美容室を新規に作ろうと思ったら、最低でも1,000万円以上は必要となります。
美容師個人が雇われのお給料で、この1,000万円というお金を自己資金として貯金するには、正直難しいと思います。まず、借入が必要となるでしょう。
小規模美容室で開業初月から好調だとしても、こんな大金を1年半で回収するなんてことはかなり難しいことです。
でも、よく考えてしっかり計画したら、初期投資1,000万ではないですが身の丈にあった金額を1年半で回収することができました。
答えは、初期投資の金額を安く抑えることを考えればいいんです。
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初めての出店でお金を掛けすぎない
美容室経営をしたこともない美容師が、いきなり多額の資金を投入するのはリスクが大きすぎるんです。
特に今の時代は。
やりたいこと、思い描いていたこと、たくさんあるとは思います。私もありましたから。
でも、すべてのことを実現させるには、考えていた以上のお金と労力が必要となります。だから、初めての出店では「お金を掛ける」よりも「お金を稼ぐ」方に完全に意識を切り替えました。
まずは店舗物件ですが、これは居抜きの美容室を契約します。
居抜きと言ってもいろいろありますが、私の場合は下記条件で考えました。
- 造作譲渡金が極力安いこと。
- 駅から徒歩5分以内
- できるだけ競合店が少ない
- 家賃が安い
- 内装がそのまま使える
- 設備機器、備品などが無料
そもそも、こんな物件あるのか?あるかないかは探すしかないでしょう。運やタイミングもあるでしょうが。
1,造作譲渡金が安いこと
これは本当に初期投資でも割合的に大きいとこです。
0円とかで納得できる物件が見つかれば1番いいですが、そうそう見つからないでしょう。
私も0円は無理でした。ただ、できる限り安く抑えるようにしましょう。
売り手は高く売りたいし、買い手は安く買いたい。どちらも当たり前ですが、交渉しないで決断するべきではないです。必ず交渉、相談はしましょう。
2,駅から徒歩5分以内
美容室の商圏エリアは大体決まっています。けれども、そこだけでの集客では限界があります。
他商圏からも集客したかったということもあり、やはり駅近がいいです。
他商圏エリアからお客様を呼び、永く通ってもらうのであれば利便性も大事です。
3,できるだけ競合店が少ない
コンビニより多い美容室でライバル店が全くないエリアなんて東京都心にはないです。
単純に同業他社(美容室)として数に入れるのではなく、自分の美容室のコンセプト(ウリ)と同じようなところを競合店として考えます。
もちろん人(見込み客)が全然いないようなエリアでは厳しいですが。
4,家賃が安い
私はここを1番重要視していました。
家賃は固定費ですから、お客様がいなく売上ゼロでも絶対に毎月支払わなくてはなりません。
自分が何度もシュミレーションして出した上限額を上回るようなら、どんなに気に入った物件でも見送ります。
5,内装がそのまま使える
これも大事です。内装が古すぎて汚いとかで、そのまま使えない状態では居抜きの意味がありません。
古くても清潔感があればいいですが、汚いはダメです。
6,設備機器、備品などが無料
エアコンやボイラー、ワゴンやシャンプー台などの機器も無料で譲ってもらえるのかどうか。古くて壊れているのであれば交換が必要となるが、使えるのであれば譲ってもらえるのか確認するべき。
私も独立を決意し店舗出店をしようと思った当初は、普通にスケルトン物件から自分の思い描くイメージの美容室を作ろうと思っていましたが、いろいろとあり居抜き美容室で開業することとなりました。
まだ経営して3年ですが、今ではこれで良かったと後悔はありません。そして、自分の周りの経営者や業界のことを見てると思うことがあります。
「お金掛けすぎなのでは?」
独立前の雇われ美容師が稼いで、貯金していける金額はそんな多くないと思います。
例えば、下記のようなケース。
頑張って貯めたお金と親族から借りたお金を自己資金として、金融機関から融資をしてもらう。
- 自分で貯めた300万
- 親族に借りた300万
この2つを自己資金として、
- 金融機関から600万の借入
自己資金600万+金融機関600万=1,200万
1,200万円。美容師が普通に勤めていたら、独立開業以外にはこんな大金を使うことはそうそうないでしょう。
上記の内訳とは異なりますが、私も数百万円の借入をしました。もちろんそんな金額のお金を借りたことなんてありませんでした。
でも、美容室を作って独立開業するとなると一瞬で自分の手元から消えていきます。
店が出来て営業開始できればゴールではありません。ここからがスタートで営業して利益が出るようになるまで、当然お金も必要になってきます。運転資金です。
正直、東京都心での独立開業で1,200万円の資金では不安だと思います。
かといって、もっと借入するには自己資金も必要となる場合もありますし、何より勇気も必要になるかと思います。
独立して自分の城を持つ時、美容師としてのこだわりと想いが詰まったサロンを作りたい気持ちは当然です。
そのために大変な借金を背負い、初期投資するのは無駄とは言えません。私もそう思っていましたから。
でも、今は最初からそこまでお金をかけるべきではないと思います。
最初からある程度の規模(大きさ)でサロンオープンして順調だったけど、スタッフの退職などで売上低下。家賃などの固定費がじわじわと経営を圧迫。。なんてことになりかねないですし。
別に居抜き美容室でもいいんです
そんなに無理してお金を掛けなくても美容室は開業できるんです。
頑なに拘るのではなく、少し柔軟に考え、こういう選択肢もあるんだということ。
私が初めて契約した美容室の居抜き物件は、10年以上美容室として営業してきた物件でした。
独立開業時にお願いしようと思っていた店舗設計事務所の方に、内装やエアコン、ボイラーなどの設備機器などをチェックしてもらいました。
「古いけど使えなくはない」
使えるもんです。大丈夫です。必要最低限の交換で良いかと。
余るほどの貯金があれば良いが、そうでないなら初期投資にお金を掛けすぎない。
初期投資をスケルトンからの美容室出店より半分以下で済ませるには、『居抜き美容室』を選ぶべきだと思っています。
”美容師の独立開業は居抜き店舗をお勧めする理由”を見て検討してみてはどうでしょうか?
独立前にしっかり戦略を立てる
私は、自分の周りの美容師である友人達より少し遅めの独立でした。30半ばでした。周りは大体20代後半から30代前半が多かったし、仲のいい同期の間では1番遅かったこともあり出遅れた感はすごくありました。
これが一般的に遅いのか早いのかはわかりません。
ただ、今思えば遅かった分すごく慎重であったと思います。もちろん、周りの友人達も慎重であったとは思いますが。
遅かった分、それまでの経験と勉強して得た知識をもとに十分に計画を立てました。
他人の経験値を自分のものにする
先に独立開業していった同業がいるというのはありがたいことです。その友人達は先輩経営者です。独立のことで右も左も分からない私にとって、自分の経験をもとに色々と教えてくれる先輩となりました。
今は「美容室 開業」というキーワードでネットで検索すれば、いくらでも調べることができます。けれども、そういった情報が正しいのか、信用していいものなのかは自分で判断しなければなりません。
友人であればリアルな体験談が聞くことができるので信用できます。
私が独立準備で気になって聞いた事は、
- もっとこうしておけばよかったと思う事
- やっといてよかった事
知っているかもしれませんが、こんな言葉があります。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」
人によって解釈が違うかもしれませんが、私はシンプルに解釈し実行しています。
人が失敗した事を自分は失敗しないでいい
これはやらなくてもよかった。これをやったけどいい結果にならなかった。などの失敗事例を聞いて、自分の中でその理由を考える。
- なんでそれをやる必要がなかったのか
- なんでいい結果が出なかったのか
ただ聞くだけ聞いて、「よし、自分はこうしよう」ではダメだと思っている。「なぜ?」という疑問を持ち、理由を考えるべきでしょう。
他人が成功したことの理由を考える
成功というほどの大きな事ではないですが、上手くいった事であればやってみる価値はある。
ただ、せっかく貴重な経験を聞かせてもらったのだから、
- 成功理由を考える
- その成功のもっとシンプルなやり方はないか
- そこからもっと先の良い考えがあるのではないか
こういった事は、やるやらないにせよ自分の中で考えるようにしている。
利益を出せる計画を立てる
自分の経営するサロン規模が分かっていれば、
- 自分の出すサロン規模でどうすれば儲ける事ができるのか
何個もプランを立て、何度も何度もシュミレーションをします。
独立出店に際してリスクはゼロではありません。リスクがあるのにリターンがないのでは意味がないです。
そのリターンをどうすれば最大化できるのか、自分なりのやり方を見つけるために必死で考えるんです。
考えることはすごく大事で、しっかり計画することはもっと大事なことです。
美容室オープンまでの準備期間は何かと忙しく、余裕がなかったりします。私は、少しの時間ができれば思いついたことをメモ帳になんでも書いていきました。結構すぐにメモ帳一冊なくなります。
ある程度の時間が取れるときに、メモ帳に書いたことを整理していました。そして、しっかりとオープン前から計画を実行に移しました。
支持してくれるお客様が重要
美容師にとってお客様が1番の財産であると思っています。
もちろん、学んで磨いてきた技術もそうですが、お客様がいなくては自分の腕を発揮することもできません。
お客様を大切にする
勤めている時から、お客様に対して正直であるべきです。真摯に向き合い、常に丁寧な仕事を心がけましょう。
私は、美容師として派手な見た目ではありませんが、誰よりお客様のことを考え仕事をしてきました。
言葉で伝えてくれるお客様はほとんどいませんが、きっと伝わっています。
他サロンや他スタイリストに担当してもらった時に、「○○さん、いつもすごく気を使っていてくれたんだ」と気づいてくれます。
お客様が探してくれる
今はネット社会でスマートフォンが当たり前です。お客様は、いつものサロンからあなたがいなくなったら、必ず検索して探してくれます。
個人情報保護などの観点から、勤め先の美容室で担当しているお客様の情報を持ち出すのは危険です。
でも、今までお客様を大切にしてきたのであれば大丈夫です。
自分のサロンのホームページを持ち、ネット上に情報を載せていれば、美容師のあなたを探すことは難しくありません。
独立してみて気づいたことは、「こんなにもお客様が応援してくれるんだ」ということです。
本当に感激でした。
まとめ
美容室の開業には、自分が使ったこともないような金額が必要になることがほとんどです。
オープンして営業開始するまでに掛るお金が初期投資です。営業開始してから掛るお金はランニングコストです。
ランニングコストを最小限に抑えることはすごく大切です。ただ、利益が出せるのであればまた違った考えにもなります。
美容室を開業するにあたり借入が必要になるなら、美容師としての自分のこだわりを抑えることで初期投資を最大限抑えることもできます。
そして、できる限りの時間と頭を使ってしっかり計画することです。
初めての出店でお金を掛けすぎない
独立前にしっかりと戦略を立てる
お客様を大切にする
この3つが私の初期投資を1年半で回収できた理由です。
もう1つ補足するとしたら、開業2年間は免税となることが理由として挙げられます。
とにかく初期投資が安く済むということは、借入も少なくて済む。金銭的リスクが小さいというのは気持ち的に違います。
小規模な個人店であれば、初期投資を早く回収して利益の出しやすいサロン作りをするべきでしょう。
初めての店舗でうまくいけば、次の展開で思い描いていたことを実行することも可能となりますしね。
それと、美容室を潰さないために運転資金がめちゃくちゃ重要だと開業して実感したので、資金計画は本当に大切です。