美容師続けてるとどうしても他が良く見えてしまうことがある
2017.01.04
「隣の芝生は青い」ということわざがあります。
美容師をやっていると、自分以外の周りの芝生が青く見えてしまう時があると思います。
何度も何度も、いや常にそう見えてしまっているかもしれません。
私もそんな時がありました。今でもたまにはあります。
スポンサーリンク
お金も時間もない20代前半
まだインターネットもPCも身近なものではなかった時代。
自分に入ってくる情報は、友人や先輩からの話、テレビ、雑誌、業界誌くらい。
ゆえに、他業種のことはよくわからない。大して興味もなかった。
自分の状況と比較対象としていたのは、同業の美容師であった。
当時、アシスタントの給与では家賃払ったら、毎日カップラーメンしか食べれないような生活。
朝も夜も練習。休日はモデハンと練習。
お金も時間もない。けど他業種のことはよく知らないので、美容師(社会に出て働く)とはこういうことなんだ。と思っていたし、先輩や周りの同業を見ても同じ様な感じだった。
そこまでツラい、キツいと思ってはいなかったし、転職も考えたことはなかった。
考える時間もなかった。
そんな状況でも隣の芝生(サロン)は青く見えていた。
あそこのサロンは、あの雑誌に出てすごいな~。あそこのアシスタントがファッションスナップで雑誌に出ていた。
など、そういったメディアから入ってくる情報から勝手に想像していました。
あそこはスゴいんだ。働いてるスタイリストもアシスタントもみんなスゴいんだ。お客様もみんなオシャレなスタイルする人ばかりなんだ。
と、いい方にばかり想像していました。
でも、実際は自分の想像していたものとは違ったみたいでした。
そのサロンで働くアシスタントの友人と話をしてみたら、スタイリストみんながスゴいわけではなく、アシスタントみんながオシャレに見えているだけで、お客様は普通のスタイルを好む方も多い。ということでした。
有名店は雑誌に載るようスタイルをするお客様ばかりと思っていましたが、オールパーパス(おばちゃんパーマ)のおばちゃんもいると聞いて、当時は「ふ~ん。。そうなんだ」と気付かされた気がしました。
正に隣の芝生が青く見えていたのです。
実際には自分のサロンより青い芝生だったのかもしれませんが、想像するほど青くはなかったということ。
また、普通に会社勤めし始めた友人に自分の美容師アシスタントとしての日常を話すと、すごく驚かれたのを覚えています。
「そんな夜遅くまで何すんの?」「休みの日も店行くの?」「給料そんな安いの!?」と。
私からしたら社会人なんて大して変わらないだろうと思っていましたから、友人の反応は想像できませんでした。
話せば話すほど、自分と友人との状況の差を実感してしまうのです。
給料も休日も拘束時間も美容師の方が待遇や環境が悪いと。ボーナスなんてのも出ないですしね。
『もしかしたら、私はとんでもない道を選択してしまったのではないか』と思ってしまいました。
20代前半、人生において隣の芝生が青く見えまくるという現象の始まりです。
いろいろと業界のことが見えてくる20代後半
隣の芝生が青い青いと思いながらも、選んだ道を信じて頑張ってきた20代後半。スタイリストとしてそこそこやれていたと思う。
同期の美容師仲間で独立する人が現れる。私も考えてはいたがそんな自信はなかったし恐かった。
今もそうだと思うが、美容師の30才前後は何かと迷い考える時期ではないでしょうか。
頑張って練習して、たくさんモデルこなして、スタイリストになってまた壁にぶつかったりで、中々真剣に先の事を考え決める余裕なんてなかった20代。
人によって性格の違いもあるので一概には言えませんが、私はとても悩んで迷っていました。
世の中の事も少しは分かるようになったつもりだし、美容業界の将来性もなんとなくは感じていた。
やりたいことやれてそこそこ給料も稼げていたけど、美容師としての10年後20年後を想像すると余計に他の芝生が青く見えていた時期かもしれません。
美容室の増加、価格競争、集客難、人材不足、、、美容師は定年がないなんて言われるけど、そんな簡単なことではないと思っていた。
美容師を続けるのか、他の道を探すのか。
決断する30代半ば
30才も越えてくると本気で考えるんですよね。このままでいいのかな?て。
でも、答えなんてみつからないし、周りの同期はほぼ独立しはじめていた。
独立した友人と話すと「大変だよ~。楽じゃないよ」と聞きますが、確かにそうだろうとは思いましたが『それでもオーナーで自由だし、お金も前よりあるだろう』と想像し、またここで芝生が青く青く見えるのです。
自分は独立もせず、何も決めれず、何してるんだろう。。と
それでもある事をキッカケに独立開業を決断するわけですが。
まだまだ他が良く見える
自分で選んだ道で自分のサロンを持ち、自分ですべてを決めることが出来る。『独立すれば自由だ』と独立前は思っていました。
確かに自由と言えば自由です。
これもまた隣の芝生が青く見えていたわけです。
オーナーになるのはちゃんと計画して勇気があればできると思います。けれども、経営し続けていくことは大変なことだったんだと、自分でお店を持って初めてわかりました。
先に独立していった友人たちのことを単純に『いいなぁ。すごいなぁ』と思っていましたが、みんなも楽しているわけじゃなくて苦労しているんだと。
ちょうどスマホを持つのが当り前の時代で、よく他の美容師さんのブログとか見るようになってきます。
自分でサロン経営をはじめると、今度は他サロンの状況や経営者の考え方などが気になってしまい、結構ブログ見ちゃってました。
『なるほど、この人はこういうやり方で経営が順調なのか』『社員旅行か。。すごいな』といろんな美容師さんのブログを読むたびに、また同じように感じるんです。
『なんて私は未熟者なんだろう。こんなんじゃ全然ダメだ。他の芝生はあんなに青いのに』と。
もう美容師になって独立してからもずっと隣の芝生が青く見えていたんですよね。どんだけ自分に自信がないんだという話ですね。
まとめ
人間ですから、他周りの方が自分よりよく見えて羨ましくなる時もあります。仕方がないことです。
なんでこんな長々と「隣の〜」と同じことを何度も書いたかというと、うちのアシスタントによく言うんです。
そう『隣の芝生は青く見えるんだよ』と。
やっぱり若いし付き合いも多い。ましてやSNSとか見すぎてまわりの状況がよくわかる。そんな年頃。
だから、仕方ないのかもしれないけど、あなたが思うほど良い状況の友達ばかりじゃないと思うよ。ということが言いたいわけです。
「みんな美容師辞めてマツエクとかに行っちゃうんですよ」とか「なんかもうスタイリストデビューした友達いるんですよね」とか。
SNS気にしすぎ。
世代は違えど同じように自分も思ったりしてましたから、今私に言われても気付けないでしょうが。
ただ、あまり周りを気にしすぎると、中々自分に自信が持てなくなるんです。周りを意識することも大切ですが、自分のいる環境や状況から目を背けずに1歩1歩進んでほしいと思います。
私は、最近はあまり周りのサロンを気にしなくなりました。
それぞれコンセプトも規模も状況も違うわけですから、それこそ自分が作った環境や状況の中で1歩1歩進んでいるわけです。
同じ立場の友人たちと飲んだりすると劣等感を感じることもありますが、きっとそれはお互い様だろうと。