美容室を潰さないために運転資金がめちゃくちゃ重要だと開業して実感した
2019.11.26
美容室を開業し、経営していくにはお金が必要です。
「設備資金」と「運転資金」という開業資金です。
これから美容室を独立開業しようと考えているなら、この開業資金を用意することを考えているでしょう。
私は、独立開業してもう直ぐ7年目に入るのですが、2店舗目を作ってつくづく思うのが「運転資金の重要さ」です。
美容室の新規開業においての運転資金はめちゃくちゃ重要で、開業前にしっかりと計算して計画するべきです。
じゃないと、せっかくオープンさせた美容室が1年持たずに潰れるなんてことになります。
開業資金を全て自己資金(貯金)からというならまだいいですが、大抵は借金をすると思うので廃業しても借金は残ります。
美容室開業後、なにがなんでも経営し続けて利益を出せるように頑張るしかないのです。
最初から利益なんて出ないし、むしろマイナスが続くことがほとんどです。マイナス期間は赤字です。
月の売上げ以上に出ていくお金が多いわけです。
このマイナス期間を乗り切っていくためにも運転資金が必要となるのです。
「じゃあ、運転資金はいくら準備しておけばいいのか?」と考えるはずです。
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美容室開業時は考えている以上の運転資金が必要だと思っていた方がいい
例えば、毎月の販売管理費が100万円必要という計算で、半年間は毎月50万円の赤字となるという計画。
運転資金を半年分と考えると毎月の赤字50万円×6ヶ月=300万円となりますが、「300万円あれば大丈夫」と思わないことです。
大袈裟かもしれませんが、その倍の600万円は必要と思っていた方がいいということ。
本当です。
ここを見誤るから1年持たずに潰れる美容室が多いのだと思います。
計画通りにいかないことも考えて運転資金を計算しておくことも大事
独立開業前は、勢いもあるしモチベーションも高く、何よりテンションが高い状態です。
それなりに自信があるから独立開業を志しているわけですから「絶対やれる!」という気持ちで考えがちです。
私も不安ながらも心の中では「自分ならやれる!」という気持ちはありましたから。
ただ「やれるやれない」ではなくやるために必要な計算はしっかりとして、余裕のある資金計画を立てることでその自信を確実なものにするべきです。
人生でもそうなんですが、計画通りにいかないことなんてざらにあります。
計画通りにいかないこともあるから軌道修正も必要となります。
美容室経営でいえば事業計画の見直しが必要となるわけですが、そこから軌道修正するにもお金も時間もまた必要となります。
思った通りにいかない…(運転資金が減っていく)
↓
やっぱりこうしていこう(軌道修正)
↓
もう少しで軌道に乗りそう(またお金も時間も掛かる)
↓
お金が足りない(運転資金が底を突く)
なんてことも考えておいた方がいいです。
運転資金の残高は精神的余裕と連動している
お金、お金、お金…お金が重要なんです。美容室経営においても。
美容室開業してしばらく毎月赤字が続くと辛いですが、しばらくは「まだまだここから!」と思えたりします。
けれども、運転資金の残高が少なくなっていくのを見ると精神的余裕も無くなっていきます。
- やばいなぁ、早く黒字化しないと…
- あと残り〇〇円か…厳しいかな…
- もう◯ヵ月も持たないかも…
キツイです。サロンワークも頑張らなくちゃだし、色々考えなくちゃだし、ただでさえ最初は大変なわけです。
そこに加えて資金的余裕の無さはホントに精神をやられていきます。
夜、布団に入ると無意識に考えてしまいます。悪い方向に進んだ時のことばかり考えてしまいます。良い方に進むことが考えられなくなってきてるんでしょうね。
上手くいってなくて眠れなくなったりとはこういうことなんでしょう。
(ちゃんと睡眠は取れてる状態です)
お金が減ってなければまだいいんです。「減る」が続く状態はしんどいです。
どんどん運転資金減っていきます。
3万、5万とかなら感じないかもですが、これが毎月40万、50万単位のお金が無くなり続けたりします。
運転資金の100万円、300万円なんてあっという間に無くなっていくこともあります。
私は、この状態を経験しています。
運転資金が減ると精神的余裕も無くなっていきます。
私の場合は、美容室の運転資金と自分の生活費は別に考えて準備しておいたので、なんとか夜は睡眠も取れていました。
サロンワークするにも日常生活送るにも精神の安定は大切ですから、計画通りにいかないことも考えて運転資金を準備することをお勧めします。
運転資金と毎月の赤字で美容室の余命がわかる…
悲しいかな、毎月赤字が続くと余命宣告を受けている気持ちになります。
例えば、月平均45万の赤字が今後10ヶ月続けば450万円必要となります。
美容室の運転資金が450万しかなければ、単純に美容室が潰れるまであと10ヶ月となります。
余命10ヵ月と予想できてしまいます。
とはいえ、余命がある程度わかっていれば回避する行動に移すこともできます。
美容室開業時の運転資金の算出と考え方
独立開業で初めての美容室オープンとなると、全てが未体験ですから慎重になる方がいいと思います。
あと、自分1人だけで考えないこと。
私は、開業前から美容室を得意とする会計事務所さんに協力してもらっていました。
なんせ全て初めてのことで自分で計算はできても、それが現実味がある数字なのか判断できない状態です。
やれる自信はありましたが数字にはまだ自信が持てなかった時です。
それなので、美容室の事業計画書を作るときは、多くの美容室開業を手伝ってきている会計士さんに見てもらうのがお勧めです。(もしくは、現役美容室経営者の方とか。先輩や友人)
『美容室経営には会計事務所が絶対必要だと思う4つの理由』も参考にしてください。
運転資金を算出するなら、まずは事業計画書から作る
美容室で独立開業を考えている美容師さんなら、事業計画書を必ず作るはずです。
事業計画書と一緒に、開業後の見通しとして
- 開業初年度の売上高の見込み
- 2年目の売上高の見込み
- 3年目…
- 4年目…
と、どのくらい売り上げてどのくらいの収益となるのかを予測する必要があります。
この予測を立てる上でも事業計画が必須となるわけです。
「月ごとに美容室経営をしていくのに最低いくらお金が掛かるのか?」ここを開業前にはっきりさせておくんです。
はっきりといっても材料費やサービス費などは、多少の変動があるのであくまで予測です。
とはいえ、はっきりと出せる経費もあります。
- 店舗家賃
- スタッフのお給料
- 広告費(集客・求人)
- 通信費(ネット回線・電話代)
- 水道光熱費の基本料金
これらは固定費としてほぼ事前に確認できる経費です。
開業する美容室の立地や規模で全然変わってきますし、どういう状態からスタートするのかでも変わってきます。
まずは『美容室独立開業のための事業計画書の完璧な書き方』を参考に計画を立ててみましょう。
毎月必要となる経費が見えてくるので。
予想外の出来事に対応するためにも運転資金が必要
「家賃やお給料分はなんとか売上げれたけど、広告費が払えない…水道光熱費が払えない…」
払えないでは済まされません。払うしかないのです。
でも、売上げは足りない。じゃあ、どこから支払いをするのかというと「運転資金」からです。
これが赤字の状態であり、運転資金のお金が減っていく状況です。
毎月掛かる経費以上に売上を立てれれば、基本的には赤字とはなりません。
とはいえ、予期せぬ出費となる出来事もあります。
例えば、
- スタッフの退職による売上不振
- 人員補充の求人費
- ボイラー故障による交換費用
- 自然災害による休業
- やばいクレーマー…
など。いつ起きるかはわかりません。
売上は良くても急な出費があれば、赤字となる月もありえるということ。
こういう事態も想定して運転資金を準備しておく必要があります。
私にもあります。シャンプー台の故障。コンセントの交換。大した出費ではないですが、起きなくはない事態です。
とういうか、数年続けていたらあってもおかしくないことなので準備はしておけるはずです。
事業計画で算出した運転資金だけでなく、予期せぬことまでカバーできる運転資金として考えておくべきです。
台風の影響でサロンを急遽休みにしたときの話
「初めての臨時休業」大型台風で美容室はどうするべきか
運転資金は美容室のお財布です
美容室経営で利益を出して、お財布のお金を増やしていくことが大事となるわけです。
しかし、増やせない状態(赤字)が続くと財布からお金が出ていくばかりです。
美容室のお財布に入っているお金にも限界があります。
減っても減っても勝手に補充されるなんてことはありえませんから、使い続ければいづれ空になります。
財布が空になれば営業できなくなるわけです。
潰れてしまいます。
財布の中身を常に意識する
お金がいくらあるのか?
わかってないとお金使えません。
何にいくら使うべきか?いくら必要となるのか?
ここを考えるのも美容室経営者の仕事です。
私は、毎月支払いを済ませてからお財布の中身をチェックしています。
自分の財布の中身を常に意識していないと、お金が発生することにおいて何も決断できません。
だから、口座残高もチェックして運転資金があといくらなのかを把握します。
まとめ:美容室開業時は1年は耐えれる運転資金を準備する
「3〜6ヵ月分は準備しておく」というのをよく目にしますが、私からするともう少し準備しておきたいと考えます。
もっと前ならこれでも良かったのかもしれませんが、今は黒字化まで1年で考えておく必要があると思っています。
顧問会計士さんもここ数年いくつかの美容室開業をサポートしてきてそう感じているそうです。
考え方ではありますが「半年経営して黒字化できなければ潔く撤退する」と開業前から決めているのであればいいです。
でも、半年で諦めたくないですよね?半年やってダメなら店潰して借金返済だけ残るなんて後悔しますよね?
私なら1年はやってみたいです。
だから1年分の運転資金。
とはいえ、オープン半年後に最初の目標売上(損益分岐点)の半分以下の売り上げしかない状態なら、傷が深くなる前に潔く撤退するという考えもあります。
毎月100万は経費が掛かるのに、オープン6ヵ月目の売上が40万。とかの状態で、集客数も伸びていなければ。
この辺は美容室オーナーの判断によるところです。
あと、私は自分の生活費は運転資金とは別で、貯蓄で生活できるように考えていました。
もし、自分の生活費もサロンの運転資金として考えるなら、毎月の生活費もきちんと算出して資金計画を立てるべきです。
それと、赤字続きで運転資金が底を突きそうだからと借り入れしようとしても、黒字化する見込みのない美容室にお金を貸してくれる金融機関はありません。貸してくれるのは消費者金融くらいでしょう。
何にせよ、これから美容室開業するときの運転資金は最低1年分はあっていいと考えます。