美容室の個人店から法人設立までやってみてわかったこと
2019.06.01
日本の美容室の半数以上が個人事業での経営らしい。
普通に考えれば、社会保険未加入の美容室がほとんどということ。
全体的にみると法人経営での美容室はごくわずか。
なんで法人経営にしないのか?
それとも、法人化したくても出来ないのか?
私の場合は出来るけどしてこなかった。
会計士さんと何度かシュミレーションはしてきた。そして、現状で法人化するメリットがあまり多くないという結果だったのです。
税金面などでのメリットは多く考えられましたが、それ以外の部分がメリットとは思えなかったわけです。考え方です。他の方からしたらメリットと感じるかもしれないので。
とはいえ、やって(経験して)みないと分らないことも多く、やってみたいと思ってしまったので、法人設立してみましたという話。
参考になるかわかりませんが、法人設立までの経緯を紹介します。
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なぜ、個人事業の美容室から法人設立したのか?
1番の理由はやってみたかったから。
でも、それだけというわけではありません。
『美容師の求人強化』という部分が大きいかもしれません。
おじさんの私が、おじいちゃんになった時も美容室経営という事業から収入を得るためには、どうしたって人材が必要ということ。
とはいえ、個人事業で小さな美容室。美容師に向けての特別な魅力も打ち出せないでいる。そんなサロンが求人募集していても、当然人材は集まらない。
では、どうしたらよいのか?
ということで、巷でささやかれている『社会保険加入』という部分を考えたときに、法人経営の美容室を作るという答えになったわけです。
正解かどうかは別として、やってみないと分らないから。
法人設立の流れ
まず、会社設立に関して右も左もわからない状態なので、とにかくネットで検索して法人設立に必要な情報をインプット。
ある程度、考えをまとめ必要なモノを揃えたところで会計士さんに報告相談です。
それで、法人設立に関する手続きをどうするのかという事。自分でやるのか?専門家に頼むのか?
私は、自分でやることにしました。どんなもんなのか経験してみたかったのです。
幸いにも法人登記の手続きをする法務局や公証役場が自分の店から近いというのもありましたが。
会社設立を考えてから法人登記し終えるまでは約半年掛かりました。
その間にしたことが、次です。
会社名(商号)を決める
何気に大変でした。
思いついてもすでに他社で使われていないか、考えては検索の繰り返しです。
これの繰り返しでなんとか決まりました。
ウェブサイトのドメイン取得
社名が決まったら今度はドメインの検索です。
これが中々思うようなドメインが取得できないものでした。
会社のオフィシャルサイトは、できればわかりやすく「社名.co.jp」と日本の法人しか取得できない.co.jpで考えていたのですが、すでに使われていることが多くうまくいきません。
それでも、なんとか社名でいけるドメインで取得完了。
事業目的を決める
法人としてどのような事業をしていくのかを決めます。
美容室経営ですから、ここはそこまで時間は掛かりません。
下記のような事業目的としました。
- 美容室の経営
- ヘアメイク業務
- 美容業に関する材料及び器具類の仕入れ並びに販売
- 美容に関する人材育成のための教育事業
- 美容経営に関するコンサルティング業
- インターネットサイトの企画及び運営
- 前各号に附帯関連する一切の事業
これらは、法人登記で必要な定款に記載しなくてはならない事項で、これに則した事業でないと会社としてやれないのです。
例えば、上の事業目的とはかけ離れた「飲食店の経営」もしたいと思っても、定款に記載している事業目的と関連性が全くないものは、会社の事業としてはやれないということです。
やってはダメなのです。
とはいえ、アレもコレもといろんな事業を記載しても、「一体どんな会社なのか??」となってしまうらしいので、あくまで美容室経営に関連する事業にします。
資本金を決める
400万にしました。
法人として新しい美容室(店舗)を出店するので、初期投資がそれなりに必要となります。
金融機関からの借り入れをします。
それには、会社の資本金がある程度ないと借金もできないわけです。
個人事業主として独立する時もそうですが、個人の預貯金が30万しかないのに「1,000万貸して欲しい」と言っても貸してくれないわけです。
当然、会社としての資本金が「最低でも借りたい金額の3分の1」はあったほうがいいという考えです。
今回の事業計画では、どこか(誰か)から投資してもらうことはないので、完全に資本金と借り入れの2つで新店舗の初期投資を捻出する必要があります。
この資本金を個人で用意しなくてはなりません。
自分の貯金から会社へ
資本金がなくては、新しい店舗は作れません。
美容室経営には、当然ながら店舗が必要なわけで、それにはお金が必要となります。
そのため会社設立時の資本金には、法人代表として必要額を会社の口座に入れる必要があります。
自分の貯金から出すしかないわけです。
結構大変です。
資本金は少額でも法人設立はできます。ただ、事業内容によって初期投資も変わるので、単純に店舗を作って人を雇用するとなるとそれなりの資本金が必要です。
法人実印などの準備
法人登記に必要な各種印鑑を作ります。
ネットで検索して、安いところで発注しました。
会社の実印として代表取締役印。
法人口座開設に必要な銀行印。
各種書類などへの押印に必要な角印。
3点セットですぐに作れます。
必要書類や定款作成と認証
上記の会社名、事業目的や資本金などの基本事項を決めたら、法人登記に必要な書類と定款を作成します。
今回は『会社設立freee』を利用させてもらいました。
会社設立に必要な書類をネット上で無料で作れます。しかも、必要な情報が決まっていれば大して時間も掛かりません。
10分もあれば入力できると思います。
これは大変便利です。衝撃でした。
法人登記に関する知識とか全然知らなくても会社作れてしまいます。会社設立freeeがほぼ教えてくれます。
これがなかったら自分でやれてないです。多分無理。専門家にお願いしていたことでしょう。
会社設立を考えている方は、会社設立freeeのサイトをくまなく見ることをお勧めします。
大変勉強になります。
ですので、詳しいことはここを参考にしてほしいと思います。
私には、ざっくりとした説明しかできないので。
法人口座開設で苦労した
結論から言って大変でした。
個人の時もそうでしたが、法人でも登記して間もない会社は信用ないのですね。。
【→美容室を個人事業主で独立開業する時の知っておくべき口座開設のこと】
甘く考えてました。
株式会社だし、法人だし、口座持つならやはりメガバンクでしょ。と思ってメガバンクへ。
個人事業主として口座開設した時と同じようなことになりました。。
法人口座開設で審査が必要とのことで、審査に通らなかったのです。
詳しい理由は教えてくれませんでしたが、店舗がまだないということが事業としての実態が確認できないという事みたいです。
いやいや、店舗作るために口座開設が必要なのに。。ということも説明しましたが、店舗開設したらまた来てください。とのことでした。
後々、思ったのですが場所にもよるのかと思います。
同じ銀行でも支店によって対応が違うということ。
最初、本店所在地(登記簿に記載してある会社住所)の最寄りの銀行に行き断られ、店舗出店場所の最寄りの同じ銀行に行ったらOKだったのです。
なんだそれ?という感じでした。
本店所在地は都心。店舗出店場所は郊外。
都心の銀行支店は厳しいのかな。という印象でした。
なんとか法人口座も開設できました。
まとめ
ざっくりではありましたが、これで会社としてスタートラインに立てました。
ここからが会社として本格的に動いていくことになるわけです。
今回、会社として新たに美容室経営をしていくために、いろいろ情報をインプットし自分で法務局などで手続きをしたのですが、なんだかんだ大変だしお金も掛かりました。
いい経験にはなりましたが、次があれば今度は専門家にお願いしようと思います。
お金のことよりも時間と労力の問題です。
普通に週6日サロンワークしながら、休みを使って会社設立のために動くとなると時間掛かりすぎます。
会社設立まで他のことができなくなります。他のことを考える余裕が持てませんでした。
ということで、決めなくてはならないことは自分で考えなくてはなりませんが、登記手続きなどは専門家に依頼することをお勧めします。サロンワークがメインの美容師には。
それと、美容室が法人化して社会保険加入しても求人はやっぱ大変だったのでした。